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原水協通信 草の根2020年3月号

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2020.3月号.pdf ※全文は、pdfファイルでご覧ください^^

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◆被爆者の願い、届かず

 ノーモア・ヒバクシャ訴訟 最高裁で不当判決

 

 2月25日、最高裁判所で愛知、広島、長崎で原爆症認定訴訟をおこしている3名の原告に対して判決が言い渡されました。

愛知県の原告である高井ツタヱさんは、名古屋市北区にある愛友会の事務所で、支援者も北区生涯学習センターに集まり判決の報告を待っていました。

   判決は全員敗訴という不当な判決となりました。

 名古屋で知らせを待っていた高井さんに判決内容を伝えた浜島弁護士は、判決を知った高井さんが「どんな判決でも不安な毎日を過ごすことには変わりはない」と語ったことを伝えられました。

 報告集会の中で高井さんは、「みなさんに集まってもらって感謝している。75年という時が長すぎて自分のどこが悪いのかも分からない時もあるが、被爆した時のことは忘れることができない」と語られ「原爆のことがすべて解明されていない。いつどこでどんな病気になるか不安がある。子どもや孫にまで受け継がれていくんじゃないかと毎日思っている」と被爆者としての不安も語られました。最後には「この世界から被爆、原爆をなくしてほしいというのが私の願いです」と痛切に訴えられました。

 今回の最高裁判決に対し、ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団、ノーモア・ヒバクシャ訴訟弁護団連絡会、日本被団協は連名で声明を発表しました。声明の中では要医療性を認めなかったことに対し「原爆の放射線は被爆から75年が経とうとする今もなお被爆者の身体をむしばみ続けている。被爆者の疾病は、原爆の放射線に被爆したために発症し、重篤化しているが故に、国の責任において、被爆者に対する手厚い援護を行うという被爆者援護法の趣旨からも、経過観察は重要な医療行為であり、放射線起因性が認められる疾患を患った被爆者の状態が経過観察にとどまる場合にも要医療性が認められるべきである」とし、国が経過観察にとどまる場合には要医療性は認められないといった運用を本格的に開始したのは2009年ころからであることに触れ、これまでの集団訴訟の中で放射線起因性についてことごとく国の運用が被爆者援護法に反していることが断罪される中で「放射線起因性を認めながら、原爆症認定のもう一つの要件である要医療性を厳格に解することで、原爆症と認定する被爆者を抑制しようとしたのである」と国側の姿勢を厳しく非難しています。

最後には「日本国政府が核兵器の廃絶に背を向け、被爆者の援護にも消極的であり、日本の最高裁判所もこのような政府の姿勢を追認したが、世界では、核兵器の非人道性と正面から向き合い、核兵器の開発、製造、使用等を包括的に違法とする核兵器禁止条約が採択され、発効に向けて批准国を増やし続けている。我々は、今後とも原爆被害の実相を明らかにし、核兵器の廃絶と原爆被害に対する国家補償を訴え続ける決意を改めて表明する。そして、国民の皆様に対し、改めて被爆者の訴えに理解と共感を示していただくことを訴えるとともに、与野党に対し、日本被団協の提言に基づいて、原爆症認定制度の抜本的見直しを政治の責任において行うことを求める」と訴えました。

裁判はこれで一つの区切りがつきましたが、原爆症認定や被爆者援護法の問題は多く、今後も様々な形で被爆者支援を行っていく必要があります。

 

 

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◆愛知県原水協 定期総会

   222日、愛知県原水協定期総会が民主会館で行われました。

 沢田理事長の開会あいさつの後、連帯のあいさつを愛友会副理事長の伊藤定寛さんからいただき、伊藤さんは「国が戦争による被害者を助けるのは当然だが、その前に人を殺さない事、すなわち戦争をしない事だ」と、平和への思いを語られました。NYで行われる世界大会へ参加する大学生は、「核兵器禁止条約に参加する政府をつくる一人になれるようにしっかりと学んできたい」と力強く決意を述べてくれました。

 議案の提案では、横江事務局長から2019年の活動報告と2020年の活動方針について、2020年は原水爆禁止運動にとって大きな節目の年。愛知県内で運動を広げていくために、全ての地域に原水協を確立しましょうと提案がありました。

 討論では団体・地域での活動報告や今後の活動に対する発言があり、尾張旭市では毎月の69行動の他にピースウェーブの行動として、駅前で終日テントを張りながらパネル展や署名を集めてきたこと、議会で「日本政府に条約への参加を求める意見書」を決議するために地元の被爆者や有力者に呼びかけ人となってもらい「会」を結成し、6月議会に向けて運動を進めていること、また419日にICANの川崎哲さんを招き講演会を開くことを報告されました。清須市でも議会での意見書決議に向けて運動を進めていくほか、署名の取り組みでも、チンドン屋をやったり、駅から清州城までアピールしながら歩いたりと「市民に見える活動」をこれからもしていきたいと発言されました。討論では、4団体6地域1個人から発言がありました。

 最後に大村代表理事が「原水協は3つの基本目標、核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護・連帯をきちんと掲げてきたからこそ今日までの運動ができてきた。3つの基本目標を胸に刻み、さらに共闘を進め運動を大きく発展させていきたい」とあいさつされ、総会は終了しました。

 

2020/03/12 原水協通信 - 草の根   愛知県原水協事務局
≪ 原水協通信 草の根2020年2月号     急性放射線症状の地域分布に基づく、内部被曝を含めた広島と長崎の原爆投下による被曝線量 沢田昭二/名大名誉教授 ≫